再稼働容認の阿久根市議会

臨時議会を終えて、いろいろと考えることがふえた。
青臭い議員かもしれないが、私から青臭さを取ったら、議員でいる意味は無いと思う。
臨時議会での討論を掲載しておく。 


平成25年、陳情第5号から、平成26年、陳情第10号までの6件と、意見書第4号、5号すべてに賛成の意見を述べて討論をいたします。


 東京電力福島第1原子力発電所の事故から3年8カ月が経とうとしています。まず一番に言いたいのは、事故発生からこれまでの間の国の対応について、強い憤りを感じているということです。エネルギー政策の大きな転換期にあったわけですが、発送電分離や、再生可能エネルギー等へシフトする政策と予算、国民的議論は十分なものではなく、原発依存からの脱却を望む住民や立地自治体、周辺自治体の選択肢を狭めてきたことなど、紛れもなく国にその責任があるからです。原発再稼働に向けて着々と準備する期間に費やし、無言の恫喝と言ってもいいような迫り方をしてきているのが今の国のやり方ではないでしょうか。


 結果的に、私たち市議会議員と市民の間で、国家的なエネルギー問題やCO2問題、地元経済への影響、放射性廃棄物の問題等々、市議会議員に現在与えられた権限を大きく超えたものも含みながら議論が起こっています。


 しかし事実として、立地地の薩摩川内市と、鹿児島県議会の同意をもって再稼働に踏み切ろうとしております。これはあまりにも無責任なことではないでしょうか。しかし国ばかりではなく、私たち阿久根市においても、住民アンケートすら行わず、詳細な意向調査もなされず、住民の声は置き去りのまま継続審査として時間だけがすぎていき、結果として総務文教委員会は1件の陳情以外をすべて不採択としました。住民の生命と財産を守ることが大前提の市議会議員でありながら、住民全体の声を聞く努力をせず審査を終えた事については、全く国と同じ過ちを犯したと強く批判したいと思います。


 今回の議員と語る会で不安を抱く市民の方々の御意見をお聞きし、原発の再稼働問題を議論する上で、もっとも大切にしなければならないのは、何よりも命のことであると感じました。感傷的な意見ではありません、今後の社会を形成するうえで、当たり前の事を言いたいのです。


 先のあくね環境志民フォーラムにおいて学んだ事ですが、自然と人間が一体となり、持続可能な社会づくりを進めている自治体はすでにあります。飯田哲也先生の「再生可能エネルギーによる、地域自立型経済の創造」という講演を聞いて、少子高齢化、人口減少社会においては、巨大な発電所は必要ではなく、地域分散型、市民参加型のエネルギーへとシフトしていくことが望ましいと聞きました。また、先生は、阿久根のGDPから試算したエネルギーコストとして、阿久根市民全体の光熱費負担合計額は約16億円であると分析されました。つまり、市民の財布から、市外に毎年16億円もの金が流出しているわけです。これは、地域経済に影響があるから原発を再稼働すべきという議論の解決策となります。今後段階的にでも再生可能エネルギーを自立的なエネルギーとして供給できることになれば、流出していた金が阿久根市内で循環するようになります。そうなれば阿久根市の経済は大きく変わるでしょう。少なくとも、地震や火山の噴火などで川内原発に事故が起こるのではないかという心配からは解放されます。持続可能で、成熟した社会づくりの根底にあるべき理念は、安心して豊かに生きられることではないでしょうか。すべての陳情書において陳情者の方々のそのような思いが汲み取れます。地元経済への影響があるから再稼働せざるを得ないという議論においては、根拠となるデータも示されず、どの程度の影響が予想されるかという調査もなく、いわば雰囲気だけで再稼働の正当な理由のひとつであると主張するのは誠実な姿勢ではないと思います。私も全く影響はないとは思っていませんが、やはり住民から再稼働か否かを問われている重大な審査の過程において、根拠となる数値がなければ説得力に欠けます。


 私は川内原発1,2号機は再稼働せず廃炉のプロセスに入るべきだと考えています。十分な避難計画も策定されていない、放射性廃棄物の行き先もない、また、先日の11月2日には日本火山学会原子力問題対応委員会が、原発火砕流が襲うような巨大噴火について、リスクを判断する原子力規制委員会の審査基準を見直すよう求める提言が出されるなど、その強引で拙速な再稼働への動きは、専門家からも危惧されております。


 また、関西電力大飯原子力発電所3,4号機について、住民が運転を再開しないよう求めている裁判の2審が、昨日11月5日に始まりました。1審で「人格権は憲法上の権利であり、これを越える価値は他にはない」として、「原子力発電所に求められる安全性は万一の場合にも、放射性物質の危険から国民を守るべく万全の措置がとられなければならない」と、原発の経済性よりも、国民の生活が優先されるべきであると司法からもストップがかかっております。


 しかし、現在の政権はそれらの重大な指摘や、司法の判断すら無視して再稼働しかねない恐ろしさを感じます。私たち阿久根市議会の判断は、小さなものかも知れませんが、少なくとも国内で最初に再稼働されようとする原発として、日本中が注目しています。住民の命が100%安全と言いきれない原発の再稼働に私たちは賛成するべきではない。何ひとつとして住民との合意の努力もないままに、薩摩川内市と鹿児島県の同意をもって再稼働が進められることに、阿久根市議会はNOというべきではないでしょうか。それが、多くの住民が今私たちに求めている結論であると信じています。よって陳情6件、意見書2件のすべてに賛成したいと思います。ご賛同よろしくお願いします。