研修内容まとめ その1

研修のレポート的なまとめを書いておくべきだと思ってはいるのだが、なかなか始まらない。
今年の8月は忙しい。明日からは広域議会で研修視察に山口県と福岡県に焼却処分場のプラントを見に行く。

さて、千葉の研修のスタートは分権改革の動向と市町村という講義だった。
すでに県から市に権限委譲が始まっているが、講師の先生は今後の対応が重要なのは、まず「県」であると言われていた。当然、国、都道府県、市町村の役割分担の見直しを明確にし、消極的自由から、積極的自由へと変わるには、「行政分権」から「立法分権」が大切。つまり、議会の権限を強めていく議会改革が必要である。のほほんとした時代はとっくに終わっており、政策議論の質的進化、分析の重要性が求められている。(分析とは・・ものごとを組み立てている要素を考えること)
ただ、われわれ基礎自治体は多様化していて、国からの画一化された政策では問題の解決が難しかったりする。


大きな構造変化のひとつである少子高齢化であるが、高齢化率の上昇と、高齢者絶対数の変化の違いには留意しなければならない。政策判断には注意が必要である。地方分権改革とは何か、自ら創造する自治体への脱皮。ただし、視点が固定的な国の縦割り構造を機動的にフラット化すること、成長の芽つまり、地域や生活の隙間にある資源発掘の苦手な県という中間組織体の機能の在り方についての議論が必要であるが、部分的な議論にとどまっている。加えて、分権議論が進まないのは、財源議論が進まないからである。
行政も議会も思考の構造と限界が浮き彫りになっていて、新たなイメージ(効果的な政策)を生むには、「思い込みの自覚」が必要である。公共性という違う価値観の中で、関係性を構築していく為には、まずどこに重点を置くのかという議論も必要になってくる。


自治体の経営改革を語る上で、公有財産のライフサイクルコストは必要である。2013年から2016年にかけて、高度経済成長時代の公共投資の更新費用が莫大なコストとしてかかっている状況である。このコスト計算は財政健全化指標には入っていない数字であり、今後2029年から数年間、さらに2039年から数年間多額の公共施設への大規模修繕費がかかってくることを考えて自治体運営しなければならない。これは公会計改革を伴った自治体経営改革を意味している。
行政が、限られた財源・人員・資産のもとで経営改革をするには、民間企業の視点と市民感覚NPOなど)が不可欠であり、多様な住民ニーズのうち真に必要なものに、最も効率的・効果的に対応していくべきである。公共サービスも、行政が継続すべきものと、民営化(業務委託・指定管理者制度PFI)や廃止すべきものとにそれぞれ評価・検証していく必要がある。
評価の方法としては、オープンの場で事業仕分けを実施。自治体の担当職員と向き合い質疑・議論するのは、「市民・他自治体の職員・議員・中央省庁の職員・経済団体職員・企業経営者・研究者・NPO職員」等で構成する第三者組織によって評価し、仕分けする。(民主党政権での悪い印象があるが、経営改革の手法としては効果的)結果、自治体職員の意識改革にもつながる。ただ問題点として、第三者による独自評価になるために、評価後の対応は行政の判断次第になる。その行政の対応について、第三者がモニタリング・公表する仕組みがない。つまり、行政運営に反映されない可能性がある。そこで重要なのは、議会という「外の目」の役目を十分に発揮させなければならない。外部評価も取り入れてチェックし続ける事も重要だろう。
一番悪い可能性としては、行政によって判断が歪められてしまうこと。
 1、行政による予備審査により外部評価の前に行政が関与するケース
 2、外部評価を経ずに行政と提案者(民間主体)が直接協議・調整を行った上で行政が決定するケース
 3、選定基準が非公開もしくは不明確な中で最終的に行政が判断するケース
など、批判的な意味を込めた説明もあった。

その流れで、PPP(行政と民間がパートナーを組んで事業を行うという、新しい「官民連携」の形のこと)や、PFI(公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法)について、例をあげた説明があった。最小の経費で、最大の効果を生むには、行政が手放さなければならないものが多い。